本を読むときに、テキストに蛍光ラインや赤線を引いてきました。

でも、引いただけで、そのまま放置されていました。

せっかく、そのときに何かを感じて引いた蛍光ライン・・・

そんな蛍光ラインたちをときどき、ここに書き写して行く事にしました。

43. 『イスラエル』p212 臼杵陽 (岩波新書)

本書で強調して述べてきたように、イスラエル社会はあるべき国家像をめぐって、いくつかのレベルにおいて分裂状態にある。この分裂こそが、和平が破綻していくプロセスの背景にある。
最初に挙げなくてはならない深刻な分裂は、イスラエルを世俗的なユダヤ民族国家として維持し続けるのか、それともユダヤ教国家にすべきなのかという、政教分離の原則にかかわる問題をめぐる対立である。第二の分裂は、ユダヤ人の出身地域による文化的差異に基づくアシュケナジームとミズラヒーム、あるいはロシア系ユダヤ人やエチオピア系ユダヤ人といった新たな移民集団の登場に伴うエスニックなレベルでの対立である。さらにもっとも深刻な分裂は、同じイスラエル国籍といってもユダヤ市民とアラブ市民の間の民族的な対立である。

日本でイスラエルというとユダヤ人の国ということになっている。そして、イスラエルに旅したときに出会ったユダヤのおばあさんの教えがどうのうこうのという本が流行ったりしている。ユダヤ人の教えなんちゃらというタイトルがすでに噴飯物であるが、なんだか妙に有り難がって、無批判に受けいれる人が多い。しかも、お節介なことに、どや顔で、人に勧めたりするから始末が悪い。本人は教養をあるところを見せたいのかもしれないが、本当は分っていないことをさらけ出している。で、こちらがチクリとやると、とたん不機嫌になって、素直でない人間は、将来成長しないとか、言ってくる。なぜか、社長という名のつく人に多いような気がする。反省 (_o_)

引用部にもあるように、 イスラエルトという国は、ヨーロッパ系、中東系、ロシア系、エチオピア系とさまざまな出自をもつ人達を「ユダヤ民族」として認定している国である。マイノリティであるが、アラブ人の国民もいる。シオニズムを利用して、欧米の支配者層が、中東へのくびきとして、埋め込んだ人工民族国家だ。


投稿日:2012-11-04