本を読むときに、テキストに蛍光ラインや赤線を引いてきました。

でも、引いただけで、そのまま放置されていました。

せっかく、そのときに何かを感じて引いた蛍光ライン・・・

そんな蛍光ラインたちをときどき、ここに書き写して行く事にしました。

32. 『ウィキノミクス』p158 ドン・タブスコット、アンソニー・D・ウィリアムズ (日経BP)

退職後、ミューラーは、自分が一番好きな化学と木工ができる設備を自宅に用意し、一日の半分は化学を、もう半分は木工をして過ごすことにした。そして、ある日、科学的問題の解法を募集するインセンティブというウェブサイトを見つける。しかも、実用的な解法を提供したものにはかなりの報酬が現金で支払われるという。これはすごいとミューラーは思った。「自分にやれる仕事が見つかったぞ」
2001年の終わりごろ、とある医薬品企業では、販売予定製品の原材料を必要としていた。物質自体、特に高価なものではなかったが製造効率が悪く、最終的な薬品の価格を大きく押し上げていた。社内では、計画を超える研究開発予算を投入しても解決策を見つけられなかった。こうして、イノセンティブにだされた公募をミューラーが見つけたのだ。化学者としての長年の経験から問題点を直感的に把握したミューラーは、それからほどなくして、有用性の高い解決策を提出した。考えてもみなかった解決策を手にした企業は大喜びし、ミューラーは2万5000ドルを受け取った。

アメリカのことはあまり好きではない。しかし、彼らの柔軟さは見習うほうがよいかもしれない。引用の例とは少し違うが、日本でもランサーズのように、ウェブサイトを通して、お仕事の募集をして、主にフリーランサーの技術者とのマッチングサービスを提供し、まあまあの賑わいをみせている。だが、また、中小零細企業や個人事業主などが主流であり、中堅以上の規模の企業の参加はないように見える。あちらでは実績がなくても、未来、将来を思考し、自ら評価し、いけそうと思うと、たとえ大企業であっても、新しい方法を取り入れるのが早い。飛躍するが、それは彼らが、未だに世界の覇権を握り続けている強さの一つかもしれない。もっとも、さすがに近年はかなり厳しいようだが。もちろん、なんでも早くて、新しければよいものではないが、私も含めて年配者になるほど、新しいもの、若い者を見下す傾向が強よすぎ、正当な評価を下せていないとずっと感じている。

投稿日:2012-10-16