本を読むときに、テキストに蛍光ラインや赤線を引いてきました。

でも、引いただけで、そのまま放置されていました。

せっかく、そのときに何かを感じて引いた蛍光ライン・・・

そんな蛍光ラインたちをときどき、ここに書き写して行く事にしました。

28. 『エスの本 無意識の探求』 p12 ゲオルク・グロデック (誠信書房)

人間は、自分の知らないものに動かされているというのがぼくの意見です。人間のなかには「エス」という何やら驚くべき力があって、それが、人間のすること、人間に起きることのすべてを支配しています。「わたしは生きている」という言は、条件付きでしか正しくありません。それは、根本真理の小さな皮相な現象しか言い表していません。人間は、エスによって生かされているのです。これが根本真理です。(中略)ぼくたちが自分の人生の最初の三年間についてほとんど知らないのは奇妙なことではないでしょうか。ごく幼いときに見たという、ある顔、ある扉、ある壁紙などのかすかな記憶をひけらかす人はときどきいます。しかし、はじめて歩いたときのことを思い出す人や、どうやってしゃべり、食べ、見、聞くのを学んだかを思い出す人には会ったことがありません。これらはすべて本当に経験したことなのです。よちよちしながらはじめて自分の足で部屋を歩いたときの子供の印象は、おとながイタリア旅行をしたときの印象よりも強いのではないでしょうか。(中略)最初の三年間のことを忘れているのではなく、その記憶は意識から閉め出されているだけであって、無意識のなかで生き続け、活動しつづけております。ぼくたちが行うすべてのことは、この無意識的記憶の宝庫から活力を受けています。


本書の裏表紙より「フロイトは人間の人格構造を超自我、自我、エスの三層にわけているが、精神分析者としてこのエスの概念を最初に提唱したのが、G・グロデックで、フロイトは彼からこの概念を借りたのである。グロデックのエスの概念はフロイトのそれよりはるかに広く、人間のあらゆる行動、病気などがすべてエスに支配されており、本書はその支配のあり方をいちいち具体的な例をあげてわかりやすく説明している。」

投稿日:2012-10-12