本を読むときに、テキストに蛍光ラインや赤線を引いてきました。

でも、引いただけで、そのまま放置されていました。

せっかく、そのときに何かを感じて引いた蛍光ライン・・・

そんな蛍光ラインたちをときどき、ここに書き写して行く事にしました。

27. 『生と死の分岐点 山の遭難に学ぶ安全と危険』 p109 ピット・シューベルト (山と渓谷社)


ブリーン結びは長年にわたって確実な結び方として普及してきたし、登山技術書にも広く掲載されて、だれもが利用してきた。ところが1970年代の初頭にブーリン結びは突然忌避されるところとなり、使われなくなった。リング負荷(ロープを結んでできた輪への負荷)のもとではほどける可能性があることがわかったからだ。(中略)そのため、リング負荷状態におけるブーリン結びの危険性に気がつくまで、長い間使われてきたのだろう。ともあれ、それがわかるまで長い時間を要したし、現在でもこの問題が解決済みというわけではない。クライマーの考え方を変えるには本当に長い時間がかかるものだ。


この前の日曜日に山岳連盟主催のレスキュー講習を受けてきたので、久しぶりにこの本を開いた。1985年にはじめて、岩登りをしたときに、一番最初にブーリン結びを叩き込まれた。暗闇でも結べるように見ないで素早く結ぶ練習もした。しかし、すでにこの時にはブーリン結びの欠陥がドイツでは認識されていたようだ。私がブーリン結びの危険性について、クライマー同士の議論を聞いたのは1990年代中ごろだったような気がする。当時、クライミングメーリングリスト(CML)で賛否両論議論されていたが、この本の出版でブーリン結びは万能ではなく、場合によってはほどけることがあるという決着がついた。引用部分の最後ではないが、危険性が発見されてもそれが伝わり周知されるまでに随分と時間がかかるものだ。あれから、15年以上もたっているので、当時は安全と思われていた方式や考え方なども、今では変わっているかもしれない。昔取った杵柄は捨てて、もう一度一から学び直したほうがよいかもなぁ。

投稿日:2012-10-11