本を読むときに、テキストに蛍光ラインや赤線を引いてきました。

でも、引いただけで、そのまま放置されていました。

せっかく、そのときに何かを感じて引いた蛍光ライン・・・

そんな蛍光ラインたちをときどき、ここに書き写して行く事にしました。

20. 『家族・私有財産・国家の起源』 p86 エンゲルス (岩波文庫)

家族内での夫の支配と、彼の子であることに疑いがなくて、彼の富の相続者に定められている子を生ませることーーーこれだけが、ギリシャ人があからさまに公言した一夫一婦制の唯一の目的であった。それ以外では、一夫一婦制は彼らにとって一つの重荷であり、神々と国家と自分たちの祖先とにたいして、それだけは果たさなければならない義務であった。アテナイでは、結婚だけでなく、夫のがわでの最小限のいわゆる婚姻上の義務の遂行もまた、法律によって強制されていた。
このように、一夫一婦制が歴史に登場するのは、けっして男女の和合としてではなく、いわんやその和合の最高形態としてではない。その反対である。それが登場するのは、一方の性による他方の性の圧政としてであり、それまで先史の全期をつうじて知られることのなかった両性の抗争の宣言としてである。


人類は、最初、母権社会だったのだ。自分のDNAを受け継いだ子供かどうか、絶対の確信を持てるのは女性だけだった。したがって、血族の中心は女性だった。人類の文明が発達して、財産を持つようになり、財産の奪い合いが多発すると、腕力に勝る男の役割が増してきて、男が力をつけ始め、やがて、集団の長となる。しかし、男は不安である。自分の財産を受け継ぐ者が本当に自分のDNAを継いだものなのか? 男の不安を解消するために、貞操が発明され、夫婦制度、家族制度が整備された。民族学も民俗学も、面白い。

投稿日:2012-10-04