本を読むときに、テキストに蛍光ラインや赤線を引いてきました。

でも、引いただけで、そのまま放置されていました。

せっかく、そのときに何かを感じて引いた蛍光ライン・・・

そんな蛍光ラインたちをときどき、ここに書き写して行く事にしました。

9. 『ユダヤ人の起源』p358 シュロモー・サンド (ランダムハウス講談社)

「ホロコーストを生き延びた世界のユダヤ人の大部分は東部出身であり、したがって、主としてバザールの出自をもつ者と言えよう。この意味は、これらのユダヤ人の祖先は、ヨルダン川の岸辺の出身者ではなく、ボルガ川流域平原の出身者だったという事、また、カナンの出身者ではなく、アーリア人種の揺籃の地であったカフカスの出身者だったということである。遺伝的には、彼らの祖先は、アブラハム、イサク、ヤコブの子孫よりも、むしろフン族やウイグル族やマジャール人に近いつながりがあるだろう。もしそうであるとするなら、「反ユダヤ主義」という語には何の意味もなくなるだろう。この単語は、殺戮者と犠牲者の双方が等しく分かちあう誤解の存在を証しだてている。過去からゆっくりと姿を現してくるにつれ、バザール帝国の興亡物語は、一つの茶番劇の様相を呈してくる。それも、歴史がこれまでに犯した最も残酷な茶番劇の・・・

世の中で常識とされ、それ以上深く検証されず、間違ったままに我々が理解していることは意外とある。ユダヤ人という民族はいない。正確にはユダヤ教徒もしくはユダヤ者だ。実際、キリスト人とは言わない、キリスト教徒もしくはキリスト者だ。だが、ユダヤ人というと、かぎ鼻で、生物学的、遺伝的な特徴をもつ民族だと、思い込んでいる。

投稿日:2012-09-23